新卒の志望動機(志望理由)書き方と例文

新卒者は、職歴のない無垢な存在です。すでに将来の仕事の目標や昇進のスケジュールなどを具体的に決めている人は、しっかりとしたビジョンを持った頼もしい若者と評価されるでしょうが、就職してからの進路はけっして思い通りになるわけではありません。
最近の傾向として、新卒採用の社員が1、2年という短期間で挫折を覚え、早々に退職してしまうことが問題となっています。多くの企業が、このことを大いに警戒しています。自分の進路をあまりに限定的に考えたり、短期間で成果が得られると期待したりして、そのことを志望動機の中に記すことは得策ではありません。描いた将来像の甘さが、採用側の警戒感につながりそうです。
新卒者の志望動機においては、熱意とやる気、同僚や先輩社員とともに仕事をするという協調性などを前面に押し出すことが肝要です。

新卒・メーカー志望の場合

エンジニアあるいは研究員として新しい領域の製品・技術開発に携わりたいと思い、技術力と開発力に定評のある御社への入社を志望しました。大学で学んだ高分子化学の知識をベースとし、最新の研究開発の成果も学びながら、エンジニアまたは研究員として成長していけるよう、日々の仕事の中で努力していく所存です。同じ技術系の社員の方々のご教示とご指導を仰ぎながら一歩一歩前進していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

企業とのマッチングをアピールする

企業が知りたいのは自社と志望者がマッチングしているか、ということです。たとえば、技術職を募集しているのに、営業職を希望している学生は採用することができません。まずは、自分の志望と企業が欲しい人材がマッチしているということをしっかりとアピールしましょう。
人によっては「入社ができるならどんな仕事でも良い」と考えているかもしれませんが、それは企業が求めている人材とは異なります。企業としては「企業への魅力よりも、業務や商品、サービスへ魅力を感じていてほしい」と思っているからです。
実際に入社をして、これからの長い年月、毎日の仕事で精一杯力を出すためには、自分がしたい業務や商品、サービスに魅力を感じていることが必要です。その点を含めて「自分はこの企業にマッチしている」と思う部分をアピールします。
難しく書く必要はなく「貴社の募集要項を拝見し、これが自分が就きたかった仕事だと感じました」など簡単な書き方でも問題ありません。どうしてそう思ったのかという部分については面接のときの質問になることが多いので、口頭でしっかりと答えられるようにしておきましょう。

やる気を伝える

新卒に期待されるのは熱意と柔軟性です。まずは熱意をしっかりと伝える必要があります。しかし熱意は言葉にすれば「やる気があります」「頑張ります」「しっかりやります」など月並みな言葉になってしまいがちです。
熱意は言葉だけでなく、行動で示すようにしましょう。たとえば企業のことを良く調べている、製品やサービスのことを勉強している、自分が入社してどんなことをしたいのかを具体的に想像できている、などです。
また「入社をして少しでも早く戦力になれるよう○○の勉強をしている」「資格を取ろうと思う」など、自分が具体的にしている努力を伝えるのも方法のひとつです。他にもOBに話しを聞いたり、商品やサービスの口コミをチェックしたりなど、その企業を研究する方法はたくさんあります。
企業のことをきちんと調べられれば、入社後に自分がまずは何をしたいのか、最終的にはどんな仕事を任せて欲しいのか、など長期的な視点で志望動機を考えることができます。

柔軟性は表し方に注意する

柔軟性をアピールしようとすると「何でもやります」「何でもがんばります」と伝えたくなります。しかし企業が求めている柔軟性はそれとは少し違います。企業が求めている柔軟性とは「経験したことがないことをまずはやってみる」「自分のやり方に固執せずアドバイスを聞き入れられる」などです。自分にはそれができるということをアピールしましょう。
「何でもやります」というのは、やる気とも取れますが「特にやりたいことがない」と受け取られることもあります。企業は新卒の採用に大きなお金と時間をかけています。離職は最低限に抑えたいという気持ちが常にあるものです。特にやりたいことがない人には続けられない仕事かもしれない、と思われると採用から漏れる可能性が出てきます。
「私は○○がしたく貴社を志望いたしました。勉強のために様々なチャレンジをしたいと思っていますが、ゆくゆくは○○の業務で貴社に貢献したいと強く考えております」など、やりたいことは正確に伝えた上で、そのためなら努力は惜しまないという部分を柔軟性として伝えましょう。

わからないことはわからないと書く

希望する企業に採用してもらいたい気持ちが強すぎて、わからないことも分かるような書き方をしてしまうことがあります。しかし相手はプロです。知ったかぶりや見栄は見破られてしまうでしょう。わからないことは「今はわからない」と書いた方が賢明です。たとえば「貴社の商品○○のパンフレットを拝見しました。正直に申しますと私ではまだ理解ができない部分も多くございましたが、それでも貴社商品への思いは強くなるばかりでした」などです。
採用側にしてみれば新卒に正確な知識や理解はさほど期待していません。入社してからいかに育つ人材であるか、ということの方が重要だからです。わからないことを、わからないと言える人材は育てやすいと考える企業担当者は多いと言われています。

志望動機は丁寧に書く

新卒の方にとって履歴書や志望動機は、初めて書く最も緊張する書類ではないでしょうか。まだ社会に出ていない人にとっては、何をどう書けば失礼にならないのかということも明確ではないかもしれません。
新卒の方に多いのが「言葉使いや書く内容にばかり気が行ってしまう」というものです。もちろん正しい言葉使いで、充実した内容の志望動機を書くことは目指さなくてはなりませんが、まずは丁寧に書くということを意識しましょう。
手書きでもパソコンでの作成でも、漢字の間違いや句読点の位置など細部にまで気を配って志望動機を完成させましょう。パソコンであっても丁寧に気持ちを入れて書いたものは、誤字がなく句読点の位置も自然です。何より文章にも無理がないように推敲されています。何度も声に出して読み返しながら、相手が読みやすい志望動機にすることを意識しましょう。